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シンプル・ライフ

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「鉄人28号」

文句があるか? あったら謝る! ~「鉄人28号」

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 さて、今回は少し色を変えていかせてもらう。実はこの数ヶ月、久しぶりにアニメーションという物を通して見させてもらった。鉄人28号だ。
 基本的にぼくは普段、アニメーションを見ないので、この作品がアニメ界の文脈上、どのような位置にあってどのような意味を持っているのか、一切分からない。その上でよろしく。
 さて、物語を要約すると、大戦終了直後の日本にて、戦前からロボット工学を研究していた博士によって事件が発生する。
 大ピンチの折、「金田正太郎」と描かれた巨大な弾頭が降って来る。迷惑な名指しをされているのは、主人公の少年探偵金田正太郎君だ。
 弾頭の中から出てくるのは、鉄人28号。これは戦死した正太郎君の父親、金田博士が対米兵器として作っていた物だ。正太郎君はいい子なので、親の遺志を継いでロボットを操り、犯罪に立ち向かってゆく。
 鉄人といえば、なんとなく毎回、ロボット同士が戦うような印象があったが、今回見てみたらどうもそうでは無いらしい。普通に小さな山村の病院で起きた毒殺事件解決に乗り出したりもする。
 基本的に、起きる事件全体は、ウィルスや、改造人間、人工頭脳を備えた小型ロボットなど、「人が作った物」に関わる物が多いように感じた。
 そして、それぞれが、己のアイデンティティがそもそも「性、これ悪や否や?」と苦悩するのだ。
 鉄人もまた、大量破壊兵器として処分されるか否かと裁かれる。正太郎君はこれに、自分自身の存在も重ねる。なぜなら、鉄人は自律して動かないからだ。良いも悪いもリモコン次第、鉄人が悪さをするとしたら、それは持ち主に不備があったからという訳だ。
 時に、鉄人といえばそのリモコンなんだが、なぜ乗り込み式でなくて無線式だったのか、ぼくは今回始めて知った。鉄人にはバギウムという未知のエネルギーが挿入でき、それを入れる事で鉄人は二足歩行型爆弾(作中では、太陽爆弾と呼んでいた)として敵地に侵入、殲滅が出来るというのだ。
 人間魚雷回天、そして原爆、忌まわしい兵器の代表二つが一つになった物、それが鉄人だったのだ。
 作中、金田博士と共にロボットを研究していたビッグ・ファイア博士は、ブラック・オックス(量産型)というロボットを製造している。これで鉄人の周囲を防御。一団を成して敵国を攻める計画の存在が明かされる。
 正太郎少年は一度、鉄人の存在にちょっと引く。が、最終回、ブラック・オックスが暴走し、行列をなして破壊行動を開始する。それを停められるのは鉄人だけだ。
 義務感に駆られた正太郎少年は、抵抗感を乗り越えて自身の鏡像である鉄人と向かい合う。
 さて、対するブラック・オックス軍団だが、実は不完全な人工知能のような物を使っている。これが集合無意識のような物で、全機体間の記憶を統合し、経験として行動原則にするような物らしい。
 戦いばかりを経験したオックスは、戦闘こそを自律して選び、結果、大惨事となってしまった訳だ。
 リモコンで動く鉄人に罪が無いなら、オックスにだって罪は無い。が、いかんせん目の前で破壊活動が行なわれている最中だ、正太郎少年は、鉄人を動かす事を、罪を背負う事と覚悟する。
 自分にはいつか、罰が当る。だが、今はそれを畏れまいとして正太郎君は戦闘に向かうのだ。
 戦いの舞台はなんだか溶鉱炉のような場所。ドサクサの内に溶けた鉄が流れ出し、泥んこプロレスのような状態になる。熱のせいなのか、鉄人暴走。真っ赤に熱して正太郎君に倒れこんでくる。
 その時、少年は思うのだ。「これは罰なんだ」
 結局正太郎君に累が及ぶ事無く、鉄人は溶解、オックスもかたづいて終る。この辺、ターミネーターサーガを思わせる。
 さて、ここから少し私事を話させてもらう。ぼくはついこのあいだ、火事場に突っ込んだ。目の前の立体駐車場で車のエンジンが爆発したからだ。
 そう、ぼくはヒーロー気取りのランボーもどきだ。大佐はいつだって言っていた。「戦場ではお前のような奴がまっ先に死ぬんだ!」。
 気がついたら真っ白な有害ガスの中に居て、見る見る視界がブラックアウトしていた。あ、酸欠で死ぬんだ、と思った。それでも運転席に倒れるドライバーの姿が頭に浮かんだ。  
 結局そのまま、いつ爆発するか分からない車の間を抜けて、先に先にと突貫してったんだが……。いや、後になって震えたもんだよ。
 さて、この時、ぼくを支配していたのはなんだろう? 人は時に、選択の余地が無く、気付けば行動している事がある。これって、鉄人やオックスとどう違うだろう?
 恐らく、集合意識で暴走するオックスは、戦中の大衆のメタファだろう。単身神風アタックを敢行する兵士が、恐らく鉄人なのだろう。
 ぼくは、誰かの心に従いたい。良いも悪いもリモコン次第。それでもぼくは、誰か自分が本当に大切に思う人のためだけに生きたいと思う。
「お前如きに何が出来る?」ビッグ・ファイア博士が、そう罵られるシーンがある。世の中には、確かに善悪という価値がまずある。でも、それを踏まえた上で、罪と罰とを畏れず、一つの行動するエネルギーを持った存在として、ぼくはありたい。
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